パンラボ池田浩明が毎回ゲストをお迎えし、お気に入りのパンを “もぐもぐ” しながらパンについて語る座談会。
最终回にふさわしいあのパン女子登场!パンコーディネーターであり、「パンクラブ」を主宰するひのようこさんが、长年培ったパンの楽しみ方を教えてくれました。
パンコーディネーター/こんがりパンだパンクラブ主宰。1999年にパンサークル「こんがりパンだパンクラブ」を立ち上げ、以来200回以上のイベントを开催。イベントで食べたパンの种类は、70000种类を超える。
パン屋さん巡りやイベントの开催を通して、「パンと人をつなぐ」をテーマに活动中。
池田浩明
パンクラブできたのいつですか?
ひのさん
1999年。今年20周年なんです。
池田浩明
そんなに长く!
ひのさん
子供产んでたら二十歳だよ(笑)。食べたパンをぜんぶデータベースにしてる。7万种类超えました。
池田浩明
すごい!
ひのさん
写真とデータ。それだけ集めると、パンの表情だけ见て、食べなくてもこの子はこんな感じかなとわかる。でも、食べてみて予想を超えてさらにいいとすごくうれしいんだよね。
池田浩明
わかります! それがパンをいろいろ食べることのよろこびだよね。
「入门パン」を决める
池田浩明
パンをそんなに好きなったきっかけは?
ひのさん
最初にいちばん衝撃受けたのが、徳多朗さんのミルクフランス。シンプルなパンとクリームだけでしょ。それなのに、なんておいしいんだろう。それから、他のお店でもミルクフランスを见たら絶対买うの。私の入门パン、きっかけになったパン。食べ比べてみると、同じミルクフランスでもこんなにちがうんだってわかる。生地がソフト系だったり、ハードだったり。クリームの练乳っぽさが强いもの、口当たりが軽いもの、まったり系とかいろいろあるでしょ。
池田浩明
固定のパンはあったほうがいいよね。同じパンをいろんな店で食べていると座标轴ができてくる。そうすると、食べたパンを座标轴の中に位置付けることができるようになりますから。それが「わかる」っていう感覚なんじゃないかな。
「入门パン」と同时に「买うべきパン」も买ってみる
ひのさん
池田さんは、必ず买うパンってないの?
池田浩明
僕は店によって変えます。お店の原点のパンを知りたいんですよ。
ひのさん
シグネチャーってやつね。私もそれは买っちゃう。はじめて行ったお店の人に闻くのは「どれもおすすめだとは思うんですけど、『今日これを买わずに帰るのか?』と内心思ってるパンはどれですか?」って讯いちゃうの(笑)。1番人気とかはポップに书いてあっても、「実はこっちがすっごいおいしいのよ」とか。隠れおすすめパン。
池田浩明
たとえば「入门パン」が食パンだったとして、フランスパンにこだわりのある店でも食パンしか买わないのだったら、そんなに楽しめていないかもしれない。
ひのさん
うん。「入门パン」と、プラスお店の方に闻いて「买うべきパン」と。そうすると、お店の个性もわかるし、プラス自分の好みも広がっていくかもしれない。
店の人と话す
ひのさん
お店の人と话すのもいい。
池田浩明
おすすめを讯いたり、店のポリシーを知る上で、絶対大事だと思う。
ひのさん
话しかけるタイミングは、やっぱり空気を読まないと。话すのもそうだけど、予约の电话もお店が落ち着いてる时间にするとか。开店からお昼どきは忙しい。15时とか16时とかに电话します。
池田浩明
お店の人が忙しそうにしてたら话しかけにくくない?
ひのさん
混んでるときはしつこくきかないけど、私は贩売の人に话しかけちゃうな。「はじめてきたんですけど」「この前これ食べておいしかったです」とか。
池田浩明
お客さんの感想はお店の人も求めている部分。おいしかったらおいしかったと伝えてあげるのは、すごくいいことだと思う。モチベーションを上げて「またおいしいパンを作ろう」って、きっとがんばってくれるでしょう。
お店の雰囲気を楽しむ
ひのさん
陈列棚にきれいに并んでたり、1个1个丁寧に作られてたりすると、お店の人の思いを感じるな。きれいに并んでるとふぁーってなるよね。
池田浩明
爱情を感じるね。きれいに扫除されていたり、かわいい饰りつけ、クリスマスとか季节の饰りつけなんかも、パン屋の楽しい部分。
ひのさん
よく「いいパン屋さんってどんなパン屋さん?」って闻かれるんですけど、お店の人の雰囲気、买ってる人の雰囲気が楽しそうだと、それは外れないんだよね。笑颜でお仕事されてる、お客さんが楽しそうに选んでいるお店は外さない。パン屋さんってそういう存在なんだよね。わりと日常に近くて、幸せな気持ちになれる场所。
池田浩明
楽しさにもいろんなパターンがあるよね。サンス?エ?サンスみたいな真剣胜负の空気とか。この人どれだけ研ぎ澄ませてパンを作っているんだ、というのが、扉开けた瞬间にわかっちゃう。
ひのさん
ツオップさんみたいに300种类もあって、テーマパークにきたみたいなわくわく感がある店も。「焼きたてでーす」って运んできてくれたりとか。
池田浩明
パン屋さんそれぞれの世界観を知るのがおもしろいんだろうね。
パン日记をつける
ひのさん
记録するのも楽しいかもね。パン日记。ショップカードと买ったパンの写真なんかを张り付ければいい。
池田浩明
どんなことを记録していく?
ひのさん
値段や名前、感想。お店に断ってポップ(プライスカード)を撮らせてもらう。食べるときに材料を确认しながら食べると、よりおもしろい。ナッツも、くるみなのかアーモンドなのかわかるとうれしいし。
池田浩明
いまはすべてデジタルで記録できるし、Instagram をパン日記がわりにするのもいいですね。
旅でパン屋に行く
ひのさん
パン旅はよくします。
池田浩明
お店はどうやって调べるんですか?
ひのさん
友達に聞いたのや雑誌で見てメモしたのを、Google map にプロットすると、どの順番にまわるか地図上で決めやすい。忘れずに定休日を調べないと、行ったときに閉まってたら泣いちゃう(笑)。
结局出会いが好きなんだと思う。行ったことのない店、食べたことのないパンのときにすごくテンション上がる。
池田浩明
パン屋ばっかり行かなくても、旅程に一轩入れるだけですごく楽しくなる。たとえば、海にドライブしますと。道の駅で新鲜な野菜买って、渔港の鱼屋で鱼买って、晩ごはんは家でパンといっしょに食べるとすごく楽しい。おとといも埼玉県の饭能に行ったんですよ、食パンがおいしいアンペルという店がバーベキュー场の近くにあって。川で鱼钓りして、パンバーベキュー。パン嫌いを公言しているうちの子供も大絶賛だった。
ひのさん
山登りの好きな人が、山の上でパンを食べるのが楽しくて、パン好きになった人もいる。
池田浩明
マラソンの途中にパン屋に寄って、ごほうびパンとか。
ひのさん
移动のときに新干线の中とかで食べるのもいいよ。私はお弁当は买わなくて、パンをもって新干线に乗る。
池田浩明
パンだけじゃなく、ワインも买っちゃって、パンとワインで东京まで帰ってくる。
ひのさん
私、このまえやった。新大阪駅にパンデュースさんあるでしょ。ビール买って、パンとビール。
池田浩明
やりたい放题だね(笑)。
#02 につづく
パンラボ主宰、ブレッドギーク(パンおたく)。东においしいパン屋があると闻けば行ってパンを食べ、西にすごいパン职人がいると闻けばその声に耳を倾け、南に伟大な小麦农家ありと闻けば、土を掘り返し、小麦をむしゃむしゃ頬张る。
著書に『サッカロマイセスセレビシエ』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』『空想サンドウィッチュリー』『パンの漫画2 さすらいのクロックムッシュ氏編』(以上、すべてガイドワークス刊)、『パンソロジー』(平凡社)、編著に『パンの雑誌』(ガイドワークス刊)、『おかしなパン』(誠文堂新光社)、『日本全国 このパンがすごい!』(朝日新聞出版)。